三島由紀夫を読もうと思った時、それほど長くなくて、有名作であるという理由から、こちらを読む事にした。
途中で色々と混乱するかもしれない挙げ句に、結局のところ「よく分からんかった・・」という感想を持つのではないか、と思ったのだが、どうしても三島由紀夫の文章を読みたいという思いで、頑張って読む事にしたのだ。
読み始めてみると、特にそんなに難しい事はなかった。
ちなみに、難しいのは文章ではない。
知っている人は知っているかもしれないが、禁色には多数の男の同性愛者が登場してくるのである。
同性愛の道理がよく分からずに、同性愛者が出てくる映画なんかでは混乱していたりしていたので、本を読むにあたり、その事が心配だったのだ。
ところが、さすがは三島由紀夫。
ストーリーは、物凄くブサイクな男が、同性愛者の物凄い美青年を利用して、自分を振った女どもに復讐をしていくという話だ。
確かに、これほど酷い、当たり所のない復讐はないとは思うのだが、結局のところ、この振られ男は、顔がブサイクだからと振られたわけではなく、最早性格からしてブサイクだから振られたんだろうな、思った。
まぁ、世の中そうに違いない。顔がブサイクだから振るなんて、物凄く顔のパーツを重視していて、一般的バランスの数値がちょっとズレている人が無理だと言っているようなものだ。
そのぐらい、この美青年を利用して復讐をしているブサイク男は性根が腐っているのである。
いや、読んでいる時は、その性格、根性の悪さが寧ろ痛快に思えて読み進める事が出来るのだ。
他に読んでいて印象に残ったのは・・・それなりに、美青年も同性愛者だし、男の恋のトライアングル的なものもあったと思う。
それも、実はそんなに気にならなかった。
名前は男の名前だけれど、台詞とか行動がそんなに女と変わるわけではなかったので、本当に気にならなかった。
そう、要は男も女も関係ないのか。
人に真摯であるか、否か。そうに違いない。
ちなみに、あまりよく覚えてはいないのだが、最終的に、復讐の手先になっていた美青年は、そういう事はやっぱり身も持たないし、やめます、みたいにやめたと思う。
復讐の一環で美青年は女の人と結婚していたのだが、家庭を顧みずに復讐のためだと言いながら他の女を誘惑するわ、同性愛バンザイと密かに満喫して浮気はするわ、本当に酷い新婚生活ぶりだった。
そんな奴は当然、いくら顔のパーツが素晴らしい比率で整っていたとしても、性根が最低だと振られます。
そんな、世知辛い話だった。
ついていけないんじゃないかという不安もなく、サクサクッと面白く読めた本で、ちょっと理解不能なところは、その箇所は再読したかもしれない。
やはり、さすが三島由紀夫だった。その一言である。
0 件のコメント:
コメントを投稿