2017年7月17日月曜日

「ボヴァリー夫人」 ギュスターヴ・フローベール・作



正に、マウスキーが読んだのはこちらの本である。

本当は、メリメの「偽ドミトリー」目当てで中古本を購入したのだが、ついでにボヴァリー夫人も入っていたので、まぁ、読んでみるかと軽い気持ちで読んだのが始まりだ。

読み始めてからしばらくして、物凄く後悔した。

何といっても、長かった。

小さな文字で二段になった形式で印字されているページで、ざっと253ページもあったのだ。

その253ページを読んでいる間、マウスキーは一体何が原因でずっとウダウダ言っているのか、本当に理解できず、理解できないまま読み進めていたので、全く理解できなかった最悪の読破となった。

ストーリーをざっくり紹介しよう。

ボヴァリー夫人という女の人が、理想とかけ離れた凡庸な男と結婚していて、夢を捨てられず、されど現実から逃れられないという、ロマン派のあるある葛藤物語だったと思う。

亭主が凡庸で幻滅、毎日退屈とか言って過ごしていて、浮気とかでハッスルしている挙句に、借金してでも贅沢品を買うのが大好きという恐ろしい女の話である。

最後は借金で首が回らなくなって、愛人の男にお金の無心をしに行くのだが、本気でそんな大金を持っていなかった愛人の男は「持ってないし、ごめんね」と言う。
ところが、ボヴァリー夫人はそれを許さない。
「本当は持ってるのに出す気がないんだろうが!」と、態度を一変させて、怒鳴り、暴れ、喚き、罵るのである。

もはや、百年の恋も一瞬で冷める瞬間だ。

結局、何もかも思い通りにいかなくなったボヴァリー夫人は自殺をしてしまう、そんな話だった。

夢と現実との間で葛藤したりすることを「ボヴァリスム」とかいう言葉が出来たりなど、当時は話題の作品だったらしい。

しかし、マウスキーは再読は100%しない。

それは、ボヴァリー夫人が恐ろしすぎたからである。

果たして、ここまで男を食い物のチョンする事が出来る女キャラクターが、他にいたであろうか?

悪女の代表格「カルメン」や「サロメ」でも、もっと人に真摯だったし、そこまで悪くないんじゃないかなと思ってしまうほどだ。

本当に、こういう妖怪みたいな女性には気を付けて下さい。ほんと、恐いですね。

そんな感想である。

2017年7月16日日曜日

「暗号解読」 サイモン・シン著




その名の通り、暗号の歴史と暗号の仕組みを解説した本である。

こちらは、またまたサイモン・シンの大ファンである姉マウスキーの一押しで読んだ一冊だ。
この本を読んだ直後の姉マウスキーは、「何か暗号文でメモを残しみろ」とか言い出してきたものである。
マウスキーが頑張って暗号メモを残したところ、「簡単すぎる」とケチをつけるほどであった。

ところが、読んでみて納得。

これは、暗号を自分でも作りたくなる!

しかも、モーラス信号の解説まであるのだから、モーラス信号を覚えて、モーラス信号で連絡をしてみたいという欲求すら沸き上がってしまうほどであった。

それ以外も、もちろん暗号の歴史という興味深い話だった。

ナチスのエニグマを解読した天才数学者のチューリング博士の話が上巻で締めくくられていたのだが・・・これは何ともズーンと気分が重くなる終わりであった。

カンバーバッチ主演の映画「イミテーション・ゲーム」を観たいという気持ちと、こういうものは映画よりドキュメンタリーの方がいいだろうな、という気持ちにもなって、まだ観ていない。

あと、エドガー・アラン・ポーの「黄金虫」をまだ読んでいないのだが、読んでみたいという気持ちにもなった。
なんでも、ポーの暗号力がハンパではなかったという事実も始めて知ったからだ。
そして、この「黄金虫」という小説には、ポーの暗号力がありったけ注ぎ込まれているというのだ。
それなら、読んでみなければ・・・と、ぼんやり思っているところである。

サイモン・シンの本は、本当に面白い。

何であんなに難しい事を、こんなにサクサクと理解出来て読みやすく、面白い文章で書けるのだろうと、すっかり不思議に思ってしまうほどだ。

もちろん、感動した本の一冊である。
きっと、読んだ直後に暗号が作りたくてたまらなくなることだろう。

2017年7月15日土曜日

「黒猫」 エドガー・アラン・ポー・作



姉マウスキーが一押しの本がエドガー・アラン・ポーだった。

それは中学生の時で、さすがに気持ちが悪そうな本なので読む気にならず、断り続けていた。
しかし、姉マウスキーが音読をし始めてくれたものだから、もう読むしか道は残されていなかった。

そんなきっかけがあり読んだ黒猫。

大分昔なので、ずいぶんと忘れてしまったのだが、ざっくりとあらすじを紹介する。

主人公は動物好きな男で、妻も同様に動物が大好き。そんな二人は黒猫を買っていたが、主人公はアル中になって、飼っていた猫を虐待して最後には殺してしまう。

事後後悔というものほど救いがたいものはないが、この主人公は殺した後に後悔したので、殺した猫とそっくりな黒猫を飼って、今度こそ可愛がる事にする。

だが、主人公は、猫が昔の猫とどんどんそっくりになるという事で、やっぱり殺す事にするのである。
しかし、うっかりと猫をかばった奥さんを殺してしまう事になり、動物殺しからとうとう人殺しにランクアップするのだ。

とりあえず、地下の壁に奥さんの死体を埋めて、綺麗に周囲となじむように壁を補修し、いい仕事をする。

ところが、警察の捜査が入ってしまうのだ。

主人公は、そして、いい仕事をしたという事を、警察の前で自慢したい衝動に駆られ、やたらと「この壁ってすごくないですか」とかなんとか言い出し、頼みもしないのに自分が補修した壁を紹介しだすのだ。
そして、壁を壊して見せて、中の奥さんの死体を警察にお披露目する。
確か、その時、死体と一緒に黒猫の死体があったか、なかったか、そこは覚えていないが、お前が一番に怖いだろ・・・というのに、何だかそれを見て「ゾッ」としたみたいな感想を最後にしていたと思う。

まぁ、そんな感じの、ちょっとイカれた世界で、ダークで詩的な雰囲気満載の物語である。

雰囲気は嫌いではないが、動物虐待に上乗せして、動物殺しの話ともなると、その時点でマウスキーは生理的にアウトだった。

もしかすると、あまり好きじゃない話No1の「ごんぎつね」の次にくるぐらい、ちょっと苦手な話であった。

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