「分身」だと思っていたところ、マウスキーが読んだ本のタイトルには「二重人格」と訳されていたようだ。
まぁ、いい。しっくりくる方を選んで、「分身」のままにしておく。
ストーリーは、ドッペルゲンガーのような話だ。
冴えない中年男ゴリャートキン氏が主人公である。
ゴリャートキン氏は、役人なのだが、仕事は出来ない、空気は読めない、いつもぼっち、出世もしない、ずっと独身で、挙げ句に割とハゲている、そのぐらい冴えない中年男性だ。
ところが、ある日、同じ仕事場に同姓同名で、背格好がまるで同じのゴリャートキン氏がやって来てから、大きく変わる。
そっくりさんのゴリャートキン氏は、それはまぁ、割りとハゲてはいるが、仕事は出来るし、気の利いた事も言えるし、仕事でも上司に気に入られて出世していくタイプなのだ。
そして、どんどんゴリャートキン氏の精神状態、生活は乱れ、とうとう最後には精神病院へ送られてしまう、そんな感じのあらすじだ。
ちなみに、ドストエフスキーの小説の中では、「悪霊」の次に好きな話だ。
なんというか、ゴリャートキン氏の中二病心溢れる行動と言動に、深く共感してしまったものである。
正に中二の頃に。
初めての場所になかなか入れないゴリャートキン氏が、長い時間ずっと入口のところをうろうろしていて、過去の偉人の格言なんかを思い出して自分を鼓舞したりする描写のところは、特に大好きなシーンである。
この本だけは、何度再読した事だろう・・・・。
愛読書と言っても過言ではない。
いまだに中二病にかかりそうになった時は、この本の事を思い出し、「いや、大人になろう」と生きる姿勢を変えられるのだ。
そんな人生のワークブックと言っても過言ではない、この一冊。
それと同時に、ドストエフスキーの文章に惚れた一冊である。
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