2017年3月3日金曜日

「雪国」 川端 康成・作




「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」

全てを読み終わった時、覚えていたのは、この一文である。

確か、主人公が宿に行き、綺麗な女の人と惚れたはれたと、耽美な世界があった気がするのだが、とんと思い出せないのだ。

本の説明文を読んでも、「そうだったかな?」と、思うほど、読んだわりには思い出せない。

多分、ぼーっと読んで、その雰囲気を体感する事が出来る系だったのかもしれない。

それでも思い出せない。

だが、何といってもこの小説は最初の一文である、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」──この一文こそが全てを物語っていると思う。

誰もが知っている一文を作れ、と、言われて、人は作る事が出来るだろうか?

色々と考えてみても、そんな一文に出会う事はない。

そういうわけで、内容を思い出すために再読する事はないであろうと思う。

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