ストーリーのあらすじは、主人公が、ある朝目が覚めたら虫になっていた、という衝撃的なところから始まる。
そして、何の疑問も抱かない主人公の家族は、虫になってしまったのだと、ショックを受ける。
どうやら、大きくて、ムカデみたいな危険な虫になったみたいなので、部屋から出ないように監禁して、食事を運んだりなどの世話をするのだ。
その内、主人公も虫として、段々順応しはじめていくのだが、一度部屋からフラリと出てしまったがために、家族の怒りを買ってしまう。
そもそも、人間が虫に変身するだろうか、と、家族は言い出すのだ。
読んでいて、まず驚くのが、ここだ。
それは最初に抱く疑問だろ?
寧ろ、今まで主人公が変身したものだと信じて、嫌がりながらも世話してた方が相当変態ではないのだろうか?
だが、主人公の家族は、虫になった主人公を再び部屋に監禁すると、「これはただの虫だ」と、結論づけ、飼育放棄する事にするのだ。
そんな話だった。
短編で、読みやすいので、サクサクッと読めるのだが、読んだ後に胸がモヤモヤする、そんな話だった。
楽しみのために読む本ではないというのは確かである。
ちなみに、読者側としては、主人公の虫なりについての様子を読んでいると、次第に「なんだ、こいつ。可愛い奴め」と、虫に愛着すら感じてくるのだ。
それが、カフカ・マジックなのか──。
そんなマジックを彼が持っているのかは知らないが、おぞましいはずの虫にも関わらず、読者に愛着を感じさせる事が出来るのである。
そして、正当な事を言っているにも関わらず、「そもそも、人が虫になる事はない」と、今更感が半端ない発言で、一生懸命に生活をしている主人公の家族たちを読者の敵にする事が出来るのだ。
あの短編の中で、これほどまで読者の心をたくみに操るとは・・・・。
しかし、だからと言って、好きな作品という事にはならない。
マウスキーは人の悲劇なら読む事は出来るが、無抵抗な生き物が可哀想な目にあう話はとても読んでいられないのである。
そのため、再読もしていないのだが、読み手側に色々な解釈をさせてくれる本なのだろうし、様々な哲学的な思想をする事が出来る、とても素晴らしい小説だと理解はしている。
でも、やっぱり再読はしないだろう。
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