2016年10月23日日曜日
「河童が覗いたニッポン」 妹尾 河童・著
これは思い出の一冊だ。
この本を読むきっかけとなったのは、マウスキーの年の離れた従兄が、「本を読むべきだ。本を買ってあげるよ!」と言ってくれたのである。
ところが、当時は本が好きではなかったので、あまり嬉しくはなかったのだけれど、姉マウスキーは思う存分に本を買ってもらっていた。
その、姉マウスキーが買ってもらった本の中の一冊に、「河童が覗いたニッポン」が入っていたのである。
内容は、妹尾 河童が色んな角度から見た「ニッポン」のものを、緻密に描かれたイラストと解説つきで紹介していくというものなのだが、それが面白くて癖になるものだった。
例えば、日本の入れ墨とかを実際に見た種類のものをイラストに描き、それにまつわるエピソードも描いてある。入れ墨をすると、焼却後も皮膚に残るという話を知ったのも、この時だし、入れ墨も失敗する事があるという悲惨な話を知ったのも、この時だった。
他にも、日本の刑務所も紹介されていて、独房の中とかもイラストで描かれている。
小学生の時に受けた、人が着目しないようなところを見て、その文化を紹介したり、面白い比較をしたりとする着眼点はいたく影響を受けてしまった。
子供の頃の影響は大きすぎたのか、本当に着目する必要がないものにまで着目しようとするようになってしまったマウスキーは、旅行の先々でゴミ箱を撮影したり、マンホールを撮影したり、無駄な写真を数多く残すようになってしまったのである。
でも、写真ではなくイラストで表現し、そして全部が手書きの文字というこの本には、人の価値観を大きく変えてしまう、新しい見方をするきっかけを作る力があると感じた。
そして、本が擦り切れてしまうまで何度も見てしまいたくなった思い出の一冊である。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
人気の投稿
-
言い訳ではないが、この「読書の書」ブログは完全に個人用のブログにする予定だった。 密かに自分の読んだ本をカウントしていこうと思っていたのだが、ある日突然友人からブログを開設していた秘密を知られていることが発覚した。 ・・・どうやら、「ユーザーのみ」にしようと思っていた...
-
立派なフランス文学だと言っておく。 サドの本を読んだからと言って、マウスキーが変態になるというわけではない。 この本のストーリーは、美徳を守り貫こうとしている主人公ジュスチーヌに、様々な種類の、色んなレベルの変態が行く手を塞ぎ、美徳論と変態論の議論を重ね、戦っていく、...
-
これを読破するのに、かなり時間がかかった。 それというのも、前半で読む事を挫折して本棚に封印をするのだが、やはり頑張って読んでみようと思って取り出して読み、やっぱり前半で挫折する。 結局、そんな事を数年間繰り返し、いい加減に心を無にして読んだという、思い出深い本である...
-
三島由紀夫を読もうと思った時、それほど長くなくて、有名作であるという理由から、こちらを読む事にした。 途中で色々と混乱するかもしれない挙げ句に、結局のところ「よく分からんかった・・」という感想を持つのではないか、と思ったのだが、どうしても三島由紀夫の文章を読みたいという...
-
物語のあらすじは、ウェルテルがロッテという人を好きになるのだが、生憎ロッテにはアルベルトという婚約者がいて、後々にその相手と結婚もしてしまう。 悩むウェルテルは、恋愛もうまくいかない、人ともうまくいかない、当然仕事もうまくいかない、何もかも思い通りにならない。 挙げ...
0 件のコメント:
コメントを投稿