マウスキーは、茶道の心得は欠片も持っていない。
それなのに、何故「茶の本」を読んだのかと言うと、父が若かりし頃に持っていた文庫本が本棚にあったので、手に取って読んだのが最初だ。
その本の後ろには、「近代茶道の美学のバイブルとして評価されるのみならず、膨大な底辺を擁しながら、精神を忘れ、ただ形式に流れる現代茶道への峻烈な批判として大きな今日的意義を持つ」と紹介してあった。
それで、岡倉天心の事は名前しか知らないし、峻烈な批判っぷりがどれほどか見てみようと好奇心を持ったわけだ。
そして、手に取って読んだが最後。
最初の三ページ目で、彼の毒舌が炸裂し始める。
で、峻烈に批判として・・という紹介通り、大体最初から最後まで、様々な表現やら例えを駆使した毒舌が詰め込まれているのだ。
書き方が爽快で、しかも笑えるので、茶道に詳しくなくても楽しく読める書き方だ。
やはり、嫌悪感というものは笑いの糧になるのだと実感。
ちなみに、お気に入りの章は第六章「花」だ。
華道について語られている章だが、書き方が花に肩入れをした書き方なので、やたらとドラマチックに花がぞんざいに扱われている事についてや、パーティのためだけに大量に殺戮され、最後は糞土に捨てられる可哀想過ぎる仕打ちなども語っている。
とにかく、短い本だけれど、岡倉天心が持っている全てのあらゆる表現力と言葉を駆使して書き上げた最高の毒舌書だ。
いやー、彼の本の前では、マウスキーの毒舌など、ただのペーペーに過ぎなかった事を思い知らされてしまう。
今でも時々、「あー、あの文節が読みたくなった」となってしまう一冊である。
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